引き抜きによる転職。
そんな漫画みたいな話…と思っていたら、これが結構あるんですよね。笑
実際に私が勤めていた会社でも、独立する上司が部下を引き抜いて会社と揉めて…なんてこともありました。
今まさに引き抜きで転職の提案を受けていて、気持ちが揺らいでいたりしませんか?
という人のために、今回は引き抜きで転職することについてのメリットやリスク、それに実際に引き抜きで転職した人の体験談を紹介します。
たしかに引き抜きによる転職には、給料や待遇が上がりやすいというメリットがあります。
その反面「給料が上がるから」と簡単に考えてしまって話に乗ってしまうと、引き抜きのリスクもあるというのも事実です。
しかし、この記事を読んでいただければ引き抜きで転職するリスクをあらかじめ知った上で、引き抜きの誘いに乗るかどうかを判断することができるようになります。
あらかじめ引き抜きで転職するというのがどういうことなのかを知っていれば、引き抜きで転職するリスクを最小限に抑え、不安を減らすことができます。
引き抜きで転職するか気持ちが揺らいでいる…という人はぜひ、最後まで読んでみてください。
今回の記事を作成するにあたって、引き抜きで転職した経験がある太田さんー仮名ーに協力していただきました。
太田さんー仮名ーの経歴航空関係の部品工場で三次下請けの会社から派遣されて勤務。2年間の派遣期間が終わり異動となるタイミングで元請け会社の係長から引き抜きによる転職を持ちかけられ、一次下請け会社へと転職した経験あり。引き抜きで転職する時の条件などは記事最後の転職体験談で。
それでは紹介します。
もくじ
引き抜きで転職するのは違法じゃない。ただ厄介なのが・・・
倉石
太田さん
倉石
太田さん
今まさに引き抜きの誘いを受けていて、転職しようか心が揺れているという人もおられるかと思います。
初めて引き抜きを受けたという人で慎重な人が気にするのが、
「引き抜きで転職するって違法じゃないの?」
ということです。
たしかに引き抜きというだけあって会社に内緒で、水面下で同業種や近い職種に転職を進めるのだから「どこか悪いことをしている気がする…」という気持ちも分からなくはないです。笑
引き抜きで転職することが違法なのかどうかというと…
引き抜きで転職することは違法ではありません。
そう、引き抜きで転職すること自体は違法では無いのです。
そもそも日本国憲法の第22条で、
参考 日本国憲法(第22条)と世界人権宣言(第13条)中小企業庁委託事業 情報モラル啓発セミナー〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
職業選択の自由が認められているのです。
もし引き抜きが違法なら、ヘッドハンティングなども違法になってしまいますよね。
たしかに引き抜きされて転職すること自体は違法ではないのですが、引き抜きで転職した時に、
- 前職の顧客情報を持ち出す。
- 転職することによって顧客に損害を与えてしまう。
- 前職との契約内容を破る形で転職する。
など、このようなことをしてしまった場合は、前職の会社から損害賠償を請求されるケースもある。ということは頭に入れておいた方がいいです。
引き抜きで転職することは違法ではないので安心をしてください。
ただ厄介なのが・・・
引き抜きによる転職はやはりメリットも大きいです。しかしその反面、リスクもある。
ということです。
具体的にどのようなリスクがあるのかというと…。
引き抜きで転職するにはリスクもある!?ウマい話なだけじゃない
倉石
太田さん
倉石
太田さん
引き抜きで転職する場合、基本的には給料のアップや待遇のアップなど、条件が上がることを前提とした先方からの提示がほとんどです。
美味しくない引き抜きなんて受ける意味ないですよね。笑
思ってもいなかった給料アップや条件アップ。引き抜きで転職するのはウマい話。なのですが…
単純にウマい話だけではないのです。引き抜きでの転職にはリスクもあります。
まず最初に引き抜きで転職することのメリットを挙げてみると、
引き抜きで転職するメリット
引き抜きで転職するメリット
- 普通に転職するより給料が上がりやすい。
- 転職後は役職が上がることも多い。
- 同業種からの引き抜きが多いので仕事には慣れている。
- 転職するのに時間がかからない。
- 転職先の上司も期待をかけてくれる。
などなど、細かいことにも目を向けてみれば、普通に転職サイトなどから転職活動をして転職するよりも、引き抜きで転職する方がメリットが多いです。
転職する時には給料や待遇をあげることを目的とする人が多いですが、引き抜きの話に乗りさえすれば、給料や待遇が上がることは約束されているワケです。
こうしてメリットだけを見れば、引き抜きによる転職はウマい話ですよね。
しかし、先ほども触れたようにウマい話だけ・・・では無いのです。
引き抜きの転職はリスクもあるのです。
引き抜きで転職するリスク
引き抜きで転職するリスク
- 期待をかけられているためプレッシャーが大きい
- 在籍していた会社から裏切ったと思われることも
- 引き抜き時の給料や待遇が本当かどうかわからない。
- 引き抜きで転職すると裏切りだと思われることも
- 小さい業界の場合は引き抜きで転職したと噂が回る場合もある。
引き抜きで転職する時にはこうしたリスクがあるのです。
先ほど太田さんも言っていたように、引き抜きの時には給料や待遇について好条件を提示されていたけど、本当にその条件なのか判断するのは難しいですよね。
なおかつ引き抜きで転職する時は、誰かに相談するのも難しかったりします。
なので引き抜き時の給料や待遇については好条件だったとしても、嘘かもしれない…というリスクもありえるのです。
それに、好条件を定時されるということは、それだけあなたに対して会社の期待も高いということです。
ということは…仕事に対するプレッシャーも大きいということです。
同業種に引き抜きで転職するとなると、在籍していた会社からは裏切りだと思われたり、業界が狭いと引き抜きで転職したという噂が回ってしまうことも。
引き抜きで転職はウマい話だけではなく、こうしたリスクがあるということを分かっておく必要があります。
そのため引き抜きで転職する時も、単純に話に乗るだけでなく、こうしたリスクを回避するために、
引き抜きのリスク回避するために
- 期待されているプレッシャーに耐えられるのか?
- 口約束だけでなく書面で給料や条件を提示してもらう。
- 在籍していた会社に引き抜きで転職したと思われないようにする。
こういったリスク回避するための行動を自分でする必要があるのです。
引き抜きで転職するためのコツ。話に乗る前に知っておくべきこと。
倉石
太田さん
倉石
太田さん
先方からの引き抜きで転職しようか迷っている時、
提示されている給料や条件が妥当なのかどうか?
って分からないですよね?
それこそ先ほどの太田さんのように「給料アップする!」と思っていたのに、転職した後で振り返ってみたら結局は標準的な給料になっただけだった…なんて話も。
リスクをともなって引き抜きで転職したにも関わらず、後から「あの時もっとちゃんと条件交渉しておけば良かった…」となっても遅いです。
転職してから後悔しないためにも、太田さんの経験を踏まえて引き抜きで転職する時のコツを紹介します。
転職を決める前に相手企業のことをしっかり調べておく
太田さん
引き抜きで転職する場合、今働いている会社よりも大きい会社へ転職するパターンが多いですが、大手から中小企業へ引き抜きで転職するパターンもあります。
引き抜きで転職したものの、実は業績不振で一時的な給料アップのために将来的な安定を捨ててしまった…。
なんてことになったら最悪です。
そんなことにならないためにも、給料や待遇だけに目を向けるのではなく、相手企業のことをしっかりと調べておく必要があります。
引き抜きで転職する時の給料の相場を調べておく
太田さん
単純に今よりも少しでも高い給料を提示されると「悪い話じゃない」と思ってしまいますよね。
その提示された給料が引き抜きで転職する時の相場なのかどうかは分からないです。
一般的に引き抜きで転職する時の給料の相場は、現在の給料の約1.3倍〜1.5倍ぐらいが妥当とも言われています。
しかしこの給料の相場も、大手企業へ転職する場合や中小企業へ転職する場合や、業種によって異なります。
引き抜きで提示された給料の相場が妥当なのかどうかを判断するためにも、事前に転職サイトや転職エージェントなどを使って、給料の相場を調べたうえで条件交渉を進めるべきです。
書面もしくはメールなどで合意した条件の証拠を残しておく。
太田さん
引き抜きで転職する場合、口約束だけで転職を決めてしまったという人もいます。
その中には社長面接を受けた後で、提示された給料や待遇が口約束の時と違っていた…。という人も。
このような口約束と実際の条件が異なっていたというケースも起こり得るのです。
既に退職してしまってから気づいた…となってしまっても後戻りできないですよね。
なので口約束だけを信じるのではなく、引き抜きの時に提示された給料や待遇に関しては、先方に書面やメールにしてもらうべきです。
後から「あの時の話とは違う」なんてことにならないためにも。
引き抜きで転職する時には給料や待遇がアップするので、浮かれてしまうこともありますよね。
その代わりに、交渉などの責任は全部自身で行う必要があるのです。
転職してしまった後で「こんなはずじゃなかった…」「思っていた話と違う」なんてことにならないためにも、
引き抜きで転職を決める前に
- 相手企業のことはしっかり調べておく
- 給料の相場を調べておく
- 給料や待遇は書面もしくはメールにしてもらう
といったことは、引き抜きで転職するのを決める前にしておいた方が良いです。
ここまで読んでみて、引き抜きの話を持ちかけられているけど不安が…という人は、別の転職方法を考えるのも一つの手です。
給料や待遇のアップを前提として転職したいのなら、引き抜き以外にも方法はあります。
むしろ転職エージェントを使った方が、安心して転職できるはずです。
引き抜きで転職するのはリスクがあると感じているのなら…
倉石
太田さん
倉石
太田さん
引き抜きで転職するということは、給料や待遇がアップするという反面、言わば正規ルートの転職方法じゃないので自己責任のリスクがあるというのは事実です。
この記事をじっくり読んでいただいているということは、今まさに引き抜きの提案を受けていて気持ちが揺れ動いてる人もおられると思います。
先ほど、引き抜きで転職することのリスクについて紹介しましたが、おさらいすると…
引き抜きで転職するリスク
- 期待をかけられているためプレッシャーが大きい
- 在籍していた会社から裏切ったと思われることも
- 引き抜き時の給料や待遇が本当かどうかわからない。
- 引き抜きで転職すると裏切りだと思われることも
- 小さい業界の場合は引き抜きで転職したと噂が回る場合もある。
引き抜きで転職するには、メリットと同時にこのようなリスクがあるのです。
もしあなたが、
引き抜きの給料アップは魅力がある。でもリスクがあることが不安…
と思っているのであれば、引き抜きで転職することだけを考えるのではなく、転職エージェントに一度相談してみてはどうですか?
引き抜きと同じ条件…とまではいかないかもしれませんが、転職の時に転職エージェントを利用したことで「給料がアップした!」という人は思っている以上に多いです。
それに転職エージェント経由の場合は、引き抜きの場合と違ってリスクが無く、安心して転職することが可能です。
転職エージェントからの提案を見ることで、引き抜きで提示されている給料や待遇が本当に妥当なのか判断することもできますよね?
引き抜きの提案を受けるか迷っている、でもリスクに不安があるという人は、一度転職エージェントに相談してみるのも一つの手です。
リクルートエージェント
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引き抜きで転職した体験談:三次下請けから引き抜きで一次下請けの会社へ転職
倉石
太田さん
倉石
太田さん
引き抜き前の三次下請けでの仕事内容と条件
私はもともと航空関係の部品を作る工場で働いていました。
元請けの工場ではなく、いわゆる三次下請けの会社で友人の紹介で入社しました。
仕事内容としては、元請け会社の工場で加工された大小様々な金属部品の細部を加工したり、組み立てたりという内容です。
基本的には土日休みの週休2日制、しかし工場は忙しく上司から
「予定が無いのなら土曜日も出勤してほしい」
と言われていたので、暗黙の了解で実質は日曜日だけが休日でした。
三次下請けで働いていた時の条件はというと…
当時私は26歳で、
月に約200時間の労働で、給料は手取りで18万円ほど。
ボーナス無し、交通費無し、社会保険無し。
有給は規定では年に10日ほどあったのですがほぼ使えず。
といった状況でした。
しかしながら実家暮らしで家賃が要らなかったので、生活がキツいということはありませんでした。
引き抜きは突然に。元請け会社の係長から引き抜きの提案
その三次下請けの会社で働いていた時は、残業も断らず有給休暇を使うこともほとんどなく、黙々と仕事をしていました。
というのも、職場の方々がとても良い人ばかりで仕事に行く事が楽しく、会社の給料や待遇を特に気にもしていませんでした。
しかし、派遣法の関係で2年以上同じ所で働けない法律があり、私は別の地区の工場に異動することになりました。
人間関係が良かっただけに、異動するのは名残惜しいと感じていたのを今でも覚えています。
ちょうど私の異動が決まった頃に、元請け会社の係長が帰社しようとしていた私の所に来て、
「異動するんだってな?もしよかったら一次下請けの会社で働かないか?」
と言ってくれたのです。
もちろん元請け会社の係長は派遣法を知った上で、
「会社が変わればここでそのまま働けるからそうしろ」
と言ってくれたのです。
後で知った事ですが、その係長はとても顔が広く、工場で働く人はもちろん下請会社の社長とも仲が良かったのです。
その係長とは三次下請けで働いていた時から凄くフランクに話をして、冗談やお酒を飲みにもよく行っていました。
それが係長にとっては心地良かったようで私を気に入ってくれ会社を紹介してくれたのです。
下請会社の社長からではなく元請会社の方から引き抜かれる珍しいケースだったと思います。
後日、紹介していただいた一次下請会社の社長に直接面接をしていただく事になりました。
履歴書を持って行きましたが、面接というよりも雑談といった内容でした。笑
その話の中で社長から
「君が凄く仕事を頑張っている事は係長さんから聞きました。うちの会社としてもやる気のある人間は是非欲しいから頼むよ。君は今まで通り一生懸命仕事を頑張ってくれれば良いから今の会社と話をして君のタイミングでうちに来てほしい。」
と言われました。
その一次下請けの社長から提示された条件は、
労働時間は三次下請けの時と同じ月に約200時間
給料は手取り22〜23万円。
ボーナス有り、社会保険有り、交通費全支給。
といった条件でした。
月給はそこそこのアップでしたが、ボーナスを含めた年収で考えると三次下請けの時よりも年収は1.4~1.5倍程になる計算でした。
三次下請けの会社の時とはこうも違うのか?と驚いたものです。
もちろん今までと同じ職場に居られる事、会社の待遇や将来性、安定の面から見ても会社を変えた方が良いのは分かっていました。
提示された内容だけを見ても即答で引き抜きを受けたいと思っていました。
しかし、三次下請けの時と条件がかなり違いがあり、提示された条件が妥当なのか分からなくなってしまったのです。
その場は「ありがとうございます、少し猶予をください」と伝えて、考える時間をもらうことにしました。
時間をもらった私は、転職サイトで同じ業種や似た業種の給料や条件などを調べました。
同時に転職エージェントにも話を聞いて、どれぐらいの給料や条件が適正なのかを確認してみたのです。
その結果…
私と同じ航空関係の一次下請けの給料や条件は、一次下請けの社長が提示してくれた条件の方が少し上だったのです。
引き抜きで提示してくれた条件が上だと分かった私は、係長が紹介してくれた一次下請けの会社に転職することになったのです。
引き抜きされた後は仕事にやる気が出た!と同時に気まずさも…
一次下請けの会社に転職した後も、仕事内容はほとんど以前と変わりませんでした。
工場の人達からは
「三次下請けの会社はピンハネが酷いから給料安かったんじゃない?新しい会社に転職出来て良かったな!頑張れよ!」
なんてことを言われました。笑
三次下請けの頃よりも給料や条件が良くなり、また業績次第でボーナスも変動するので仕事にますますやる気がでました。
しかしそれと同時に、以前の勤めていた三次下請けの会社の上司ともちょくちょく同じ工場で顔を合わせることもあるので、条件が良い会社に転職した手前もあって気まずさを感じることが今でもあります。
それでも、結果としては引き抜きで転職することができて良かったと思っています。
というのも、もし私がなにも知らないまま働き続けていたら、三次下請けで働いていた時の現状が当たり前だと思って働き続けていたかもしれないからです。
引き抜きによる転職は、方法が方法だけに迷う人もおられると思います。
事実、私も信頼していた係長からの紹介だったとはいえ、提示された条件が正しいのか転職サイトなどで確かめたぐらいです。笑
引き抜きによる転職に不安はつきものだと思いますが、話を鵜呑みにするのではなく自分で確かめることも忘れずに。
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